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若者の能力開発と上司・先輩の関わり方

大学の就職課職員の方々に向けての研修を実施しました。 「就職活動における学生相談のコツやヒント」というテーマです。職員も学生相談を受ける中、他の業務も抱えているため、短い時間でいかに学生の相談に応じるかが課題ということが研修実施の背景でした。 キャリアコンサルティングの考え方をベースに、いかに学生の納得を引き出すかということを目的に行いました。

 

相談を受けるベースとしては、必ず相手の中に答えがあるというスタンスです。学生が抱えている問題は何なのか、気付いていない問題に関しては、気付いてもらえる関わりを行っていく必要もあります。学生は、自分の中にある答えに気付き、納得しなければ行動には移れません。学生が自分で動けるようになるよう関わる必要があります。

 

研修の最後に受講者の職員の方から、「学生と関わっていて、エントリーシートなどを学生と一緒に考えて

最終的に出てきた内容が自分がアドバイスした内容そのままになっている場合がある。本当にそれで良いのかというジレンマを抱えている。」という意見がありました。

 

学生も含め、若者からの相談を受ける時に良く感じることです。「答えを教えて下さい」「これで良いのでしょうか」など、自分の考えや想いなどを伝える場面や答えがない問題に対しても「正解を知りたい」という若者が多くいます。

 そのような現象がなぜ起きるのかを考えてみると、「考えて自分の意見として発することに慣れていない。または、自信がない」「これで良いと言ってもらい自信を持ちたい」「自分の考えや意見が間違っていたらどうしよう」ということでしょうか。

 少し斜めから考えてみると、「考えるのがめんどくさい」「答えを教えてもらった方が効率がよい」「調べるのがめんどくさい」「自分の考えを言葉に出来ない。どう表現したら良いかわからない」「後で指摘されるのは嫌」という見方もあるかもしれません。

 

では、相談を受ける側、教育・育成をする側からすればどうでしょうか。 

企業での教育・人材育成という観点からしても、他の業務に追われている状況の中、短い時間で関わらなければならない中、「こうすれば良いんだよ」と答えを教えていないでしょうか。 

「だって考えさせたら時間がかかるし、教えた方が早い」「考えてもらっても“わかりません”って言われるし」「何なら自分でやった方が早い」などと声が聞こえてきそうです。

でも、それを続けていると「指示待ち人」「答えを聞いてからしか行動出来ない人」「自分で考えない人」が育ってしまいます。

 

若者がなぜ答えを知りたがるのかは、本人達に聞いてみなと本当の理由はわかりません。

私は、これまでの学校教育や家庭教育の中で、「自分の意見を考えて言葉で発し議論したり、答えのない問題について何らかの自分なりの解決策を導き出し周囲に伝わるように伝えたりする『機会』が不足している」ということが原因なのでないかと考えます。また、これまで「正解を導き出すことを多く経験し、自分が出した答え(考えや意見)を誰かにジャッジされてきた」ために正解でなければ言葉に出してはいけないと思っているのではないかと考えます。

 

そのような環境で育ってきている若者を目の前で起こる問題に対して、自分で考え解決策を導き出し、自ら行動出来る人材に育てていくためには、根気強く『考えてもらい、自分の考え・意見・想いを言語化出来る』よう関わることが必要です。

また、『正解は1つではない。目標を共有すれば、目標達成の方法はいくつもあるんだよ』と伝え、自分の考えを発することは良いことなのだと感じてもらい、考える習慣をつけてもらうために関わることも必要です。

より効果的に関わるためには、コミュニケーション手法(カウンセリング・コーチング・ティーチング・コンサルティング)を使い分け育成をすることをお勧めします。

個別の状況や成長度合いを加味しながら、基本は支援的手法を活用し、自分で動ける力を育てることが若者の能力開発に繋がります